飲食をするときのシメの食事は糖質が基本です。糖質に含まれるブドウ糖が血液中で多くなると脳の満腹中枢が刺激されて、多くの食べ物が身体の中に入ってきたと判断をして、食欲が抑えられるようになります。この流れによって飲食にストップがかかります。これを見ると、食事をして満腹を感じるのは脳であって、胃の中に多くの食べ物が入ってきた結果ではないこととなります。糖質制限をすると血液中のブドウ糖が多くならないことから血糖値が充分に上昇しなくなり、なかなか満腹感が得られなくなるだけでなく、空腹を感じることにもなります。
しかし、糖質制限をしても、空腹を感じないこともあります。糖質制限ではブドウ糖が多く含まれるものを減らしても、肉類などのたんぱく質と脂質は欠かさないようにして、むしろ多く食べても大丈夫だと説明している糖質制限推奨者もいます。たんぱく質の摂りすぎは腎臓に負担をかけると警鐘を鳴らす人もいるのですが、その前にメディカルダイエットとしての考えに従うと、脂質(脂肪)が多く含まれているものを多く食べても満腹中枢が働きにくく、胃が圧迫されて満腹を感じるまで食べてしまうことになります。このお腹で満腹する状態では、エネルギー量の過剰となって太ることにもなります。
以前にラクビーチームの選手にフランス料理をフルコースで食べてもらい、一つのチームにはデザートに甘いケーキを食べてもらい、もう一つのチームにはケーキと同じエネルギー量のチーズを食べてもらって、どの段階で満腹となって食べられなくなるか、という試験をしたことがあります。その結果、ケーキのチームは1セットのフルコースを食べ終えたあと、2セット目の途中で食べられなくなりました。それに対してチーズのチームは2セット目も終え、用意した3セット目も食べることができました。結論は簡単で、血糖値が充分に上昇しないと満腹中枢が正常に働かずに、食べすぎてしまう危険性があるということを示しているのです。