空腹時の運動の後に食事をすると、肝臓での脂肪合成が抑えられるために、体脂肪の蓄積が抑えられると前回(237回)紹介しました。肝臓で合成されるのは脂肪酸で、その材料となるのは主には糖質です。「ご飯を食べすぎると太る」と言われるのは、肝臓に脂肪合成の仕組みがあるからです。合成された脂肪酸はグリセロールというアルコール成分と結びついて中性脂肪となります。中性脂肪はグリセロール1個と脂肪酸3個で構成されているものを指しています。
肝臓で作られた中性脂肪は血液中に入り、その量が多くなると脂肪細胞の中に保存用の脂肪として蓄積されます。それを促進するのもインスリンの働きです。インスリンの分泌が多くなるほど、このメカニズムが進んでいくわけですが、1日の中でインスリンの分泌が最も盛んになるのは夕食後です。インスリンの分泌量は自律神経の働きに左右されていて、副交感神経の働きが盛んになると分泌量が増え、交感神経の働きが盛んになると分泌量が減ります。
日没から日の出までは副交感神経の働きが盛んになっていて、その時間帯に食べる夕食ではインスリンが多く分泌されて、寝ている間と翌日の午前中のエネルギー源として中性脂肪を多く蓄積していくのです。
このタイミングで合成される脂肪酸の量を減らして、脂肪細胞の中に蓄積される中性脂肪を減らすことで、体脂肪を全体的に減らす方向に導いくことになります。だから、空腹時に実施する運動と、それに続く食事というタイミングは、夕食の時間に合わせて実施するのが一番効果的だということになります。