食べてから、すぐに寝ると太る、とはよく言われることです。食事をしてから眠るまでの間の時間が短いと、それだけ消費エネルギーが減るので、太りやすくなると一般に説明されています。しかし、その時間だけが太る、やせるをコントロールしているわけではありません。一般には睡眠の3時間前までには食事を済ませておくことがすすめられます。胃の中に食べたものが残っていると、消化・吸収に身体が働くことで、睡眠しているときに身体を充分に休ませることができなくなり、脳も休むことができなくなります。そのために熟睡ができないというマイナス面も出てきます。
脂肪細胞からレプチンというホルモンが分泌されていますが、レプチンには脳の食欲中枢に満腹信号を送る役割があります。また、胃から分泌されるホルモンのグレリンは食欲中枢に空腹信号を送る役割があります。睡眠不足になるとレプチンが減って、グレリンが増えるようになります。アメリカの研究では睡眠時間が5時間の人と8時間の人を比べると、8時間の人のほうがグレリンの分泌が15%減り、レプチンが15%増えたという結果が報告されています。その結果として、睡眠時間が短くなると食欲が抑えられにくくなって、太りやすくなるということです。
睡眠時間だけでなく、睡眠の質がよくないと充分な睡眠による効果が得られなくなります。深い睡眠が得られているとレプチンが増え、グレリンが減って、食欲が抑えられるようになります。熟睡するには初めの睡眠の深さが重要で、90分周期の睡眠の深さの波は初めが深くて、徐々に浅くなって朝に目が覚めるようになっています。その初めの睡眠が深いと、それに続く睡眠も深めになるものの、初めの睡眠が浅いと、その後の睡眠も浅くなって全体的に熟睡度が下がることになります。
食べたものが胃の中に残っている時間はエネルギー源の種類によって異なり、完全に消化されるまでに糖質は約2時間、たんぱく質は約4時間、脂質は約6時間かかります。脂肪が多く含まれたものを食べると胃腸が休まらず、睡眠も浅くなってホルモン分泌が乱れるので、もしも食べなければ空腹が強くて眠れないという状態としても糖質(ご飯、麺類、パンなど)を少しだけ食べることです。もちろん、何も食べないようにするか、甘い飲み物だけにするのが睡眠にはよいのは間違いがないことです。