255 飲酒と痛風の関係

“酒は百薬の長”と言われ、飲酒のマイナス面はあってもリラックス作用や体脂肪が少ない人が増やしたいと願うときにはプラス面もあります。適量ならよいと言われるものの、飲酒が禁止されることがあります。その典型的な例とされるのは尿酸値が高い人です。尿酸値が高い高尿酸血症になると尿酸が結晶になって、関節を刺激して痛みと炎症を引き起こす痛風が発症します。
「風が吹いても痛い」とされるほどの激痛が起こるのは、結晶がトゲのように関節の神経を刺激し続けるからだと以前は考えられていたのですが、痛みを起こしているのはトゲではなく、活性酸素のせいであることがわかりました。結晶が関節を刺激すると活性酸素が発生して、そのために神経細胞が傷つけられ、これが痛みを発生させているということです。
尿酸値を上昇させる原因となっているのはプリン体です。プリン体は細胞の核を構成する核酸(DNA、RNA)の構成成分です。体内にも多く存在していますが、その多くは細胞が壊れたときに細胞の中から出てきたものです。核酸の構成成分であることから動物性の食品を食べることで、プリン体も多く血液中に入ってくることになります。プリン体が多く含まれるのは内臓肉や干物です。また、アルコール飲料にも多く含まれていて、中でも多いのはビールです。
「プリン体カット」「プリン体ゼロ」と表示されているビールは、尿酸値の上昇抑制、痛風の予防を目的とされています。ビールは尿のpHを下げて尿酸を溶けにくくさせて、尿酸が尿として排泄されるのを抑制します。また、ビールには利用作用があって、ビールを飲むとトイレの回数が増えることになります。ビールとして飲んだ水分が出ているだけでなく、体内の水分が多く出るようになることから、尿酸が濃縮されて結晶ができやすくなることになります。
プリン体の量が少ないか含まれていないビールなら安心して飲めそうですが、ビールを飲まなくても尿酸値は高まります。ビール以外のアルコール飲料でも、尿酸値が高まることが確認されていて、アルコールの作用によって尿酸の排泄が抑制されることになるので、飲酒は尿酸値を高めることになるのです。
ビールを飲んでいないのだから、と安心してしまい、プリン体が多い肉類、魚介類を食べながらの飲酒をすると尿酸値を高め、痛風のリスクを高めることになりかねません。