283 糖尿病で糖質制限は大丈夫か

糖質制限は食事で摂るブドウ糖が減ることから、肝臓での脂肪合成が減り、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪が減ることになります。ブドウ糖が吸収されて血液中に入ると血糖となります。この数値、つまり血液の分量に対するブドウ糖の量が血糖値となります。血糖値が上昇すると、脂肪合成が進むことから、ダイエットのために糖質制限がすすめられています。糖質制限によって血糖値が下がるということは、血糖値を気にする糖尿病には有効と考えられています。糖質を摂ることで血糖値が大きく上昇する人の場合には、少しは糖質を減らすことは有効であっても、食事抜きで糖質を摂らないようにするのは糖尿病の人には危険なことにもなります。
糖尿病患者や血糖値が高い予備群の人は、膵臓から分泌されるインスリンの量が少ないか、インスリンは分泌されているものの細胞のインスリンを使う能力が低いことから血糖値が下がりにくくなっています。血糖値はブドウ糖が影響するので、糖質制限をすれば血糖値は下がります。しかし、細胞を働かせるためのエネルギー源のブドウ糖の取り込み能力が低いために、血液中のブドウ糖が多くなっているので、細胞はエネルギー不足の状態となっています。糖尿病は細胞レベルでみると、飢餓状態ということができます。
ブドウ糖を取り込まなければならない細胞は、そのためのエネルギーをブドウ糖を使って作り出しています。また、インスリンを分泌する膵臓の細胞を働かせるためにもブドウ糖が必要です。それなのに極端な糖質制限をしたら、全身の細胞の働きが充分に行われなくなって、これが生命維持にとって危険なことを引き起こすことにもなりかねません。
糖質を極端に減らすことなく、一般にいう“腹八分目”ではなく、腹六分目くらいを目標として主食を減らします。同じ主食の量であっても、ご飯は消化に時間がかかるので粉物(麺類、パン)に比べると血糖値が急上昇しにくくなっています。同じご飯でも食物繊維が多い玄米は消化に時間がかかりますが。ご飯を食べるときに、おかずとして食物繊維が多い野菜や海藻などを食べると、さらに血糖値の上昇が抑えられます。