発達障害児の食の偏りを改善するためには、栄養の知識の前に発達障害の特性を知ることから始める必要があります。発達障害児によく見られる極端な偏食については、どのようなことが起こっているのか、どこが問題になるのかということを説明しています。
そこから講習に入ってもよいと考えられがちですが、あえて発達障害の知識からが入り、続いて発達障害の食事の困難さ、そこから栄養摂取の重要性、実態の把握、改善の方法へと進んでいきます。
発達障害の特性を理解して、できることから支援をする人材を養成することは、認知症サポーターと似たようなところがあります。この認知症サポーターの養成は国の事業ですが、発達障害のサポーターとなると、まだ本格的に実施しているところはありません。実施していないので、第一号になろうという自治体もないことはないのですが、前例主義というか、他に実施例が出てから取り組もうというのが、これまでに声をかけたほとんどの反応です。
私たちは、発達栄養の専門家を養成するDNA講習から始めていきますが、その初めは栄養講習ではなく、発達障害の理解と食事の困難さの理解についてです。食事や栄養については情報も多く、これまで何十年も食事をしてきたので、ある程度の知識があるはずです。それなりの知識があるだけに、個人によってレベル差や考えの違いもあって、いきなり食事と栄養の話から始めると認識の違いが出てきていました。
まずは発達障害とはなにか、その実態、食事の困難さによる発達障害への影響といったことについて全体的に理解していることが大切であると考えています。共通認識ができたところで、共通の用語を使って、理解して語り合えるようにすることに重きを置いています。
発達障害の理解について、時間を割いて学ぶことから、ほとんど発達障害のサポーターと同じような内容となっています。ということは、DNA資格認定者は、発達障害のサポーターの知識があるだけでなくて、発達障害のサポーターの講師も務められる内容となっています。
ここまでの知識があり、栄養についても学ぶことで、発達障害児だけでなく、すべての子どもの成長に必要な栄養学と生理学についても学ぶことができるのです。これによって、DNA資格認定者が、それぞれの仕事にも役立てることができる内容としています。実際の仕事にあたって、不足している部分があった場合には、認定者への情報提供として発信していく体制も整えています。
〔発達栄養指南:小林正人〕