発達障害児は食べ物の好き嫌いが多くて、中でも自閉症スペクトラム障害では○×で意思決定をする特性があることから、まったく食べられないというものが出てきます。それは感覚過敏によって食べられないということだけでなくて、何か別の原因があって心理的なことで食べられなくなり、極端な偏食が起こることも少なくありません。
絶対に食べなければいけないとされる食品の中で、極端な偏食が起こりやすいものとして野菜があげられます。野菜が食べられないというのは発達障害児に限ったことではなくて、定型発達の(発達障害でない)子どもでも普通に起こることです。
食べられないものは嫌いなものの範囲となりますが、好きであっても、食べることが大切だとわかっていて積極的に食べようとしても食べられないこともあります。子どもと大人の場合は違っているのを承知していて、あえて書くことにしますが、私も野菜が食べられないという状況です。状態によっては、すべての野菜ではなくて種類が限られることもあるのですが、その理由は発達障害でも好き嫌いでもなくて、身体の状態です。
小腸と大腸の境は回盲部といって、小腸の最後の回腸と大腸の始まりの盲腸の間の弁の部分です。この弁があるので、小腸を通ってきたものが大腸に送られた後に逆流しないようになっています。
この回盲部に弁に近い部分が炎症を起こす、その名も回盲部炎症性疾患が私に示された病名です。その原因としては潰瘍性大腸炎やクローン病があるのですが、どちらなのか、それとも別の原因なのか、それは明らかにされていません。
大腸の内視鏡で、最も奥の回盲部まで見たときに発見されたのですが、あまりに奥過ぎて治療法が今のところないとのことです。原因も治療法も明らかでなくても、悪化させない方法はわかっていて、それは食物繊維を摂らないことです。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸壁を刺激することで蠕動運動を進める作用があり、野菜の中でも根菜類に多く含まれています。水溶性食物繊維は水分を吸って膨らむ性質があり、腸壁を刺激することなく進んでいくもので、海藻、きのこ、果物(ペクチン)に多く含まれています。
禁止されているのは不溶性食物繊維のほうですが、便通のためだけでなく、野菜が好きで長年、積極的に食べてきたもの、もっと食べたいと思っているものが食べられないのは、発達障害の特性とは違うものの、その苦しさを少しは理解できると感じています。
〔発達栄養指南:小林正人〕