発達障害がある子どもは、定型発達(発達障害ではない)の子どもに比べると偏食が起こりやすい傾向があります。偏食といっても好き嫌いのレベルや食べられないということではない状態から、まるで食物アレルギーかと思われるほどの拒否反応を示す状態もあります。
発達障害の特徴とされる“極度の偏食”は後者の例で、五感の防衛反応であることが多く見受けられます。これは味覚、触覚、嗅覚、聴覚、味覚の五感が過敏に反応して、食べること自体に恐怖を感じていることがあります。
自閉症スペクトラム障害に多く、半数が極度の偏食か、それに近い通常の偏食(好き嫌い)を超えた拒否反応を示していたとの調査結果もあります。通常の好き嫌いは味覚に関係することが多いのですが、どの感覚でも起こりやすいのが発達障害の特性といえます。
五感の感覚過敏による極度の偏食は、食べられない理由さえわかれば、原因を取り除くことで対応することも可能です。調理法を工夫することで解決される例もあります。
ところが、心理的要因が原因となっている場合には、食事そのものを工夫するだけでは解決につながらないことから、生活そのもの、家族の関係性などにも踏み込まないと解決ができないことがあります。
発達障害による極度の偏食は、恐ろしいと感じることから逃れようとする行動でもあるのに、食べられないと言っているものを無理に食べさせようとした、形や味を変えて騙して食べさせようとしたという感情から、そのようなことをした保護者に対しての拒否反応が起こります。
その気持ちが記憶の深いところに作用して長く残るのが発達障害児の特性にもなっています。こうなると調理法の工夫は、かえって拒否反応を強めることにもなります。なぜ食べられないのか、その理由を聞き出すことから対応は始まるのですが、幼い子どもの場合には、その説明をするのも困難なことがあり、焦らずに、時間をかけて聞き出すことが大切で、さらに聞き出せるようにする環境づくりも大切になってきます。
〔発達栄養指南:小林正人〕