DNA Answer50 セロトニンを増やす栄養素

発達障害では不足していることが指摘されている神経伝達物質のセトロニンを増やすには、必須アミノ酸のトリプトファンが必要で、それが多く含まれるのは大豆、豆類、乳製品です。

では、これらの食品を摂っていればセトロニンが増えるのかというと、それほど簡単なことではありません。

トリプトファンからセトロニンが合成されるときには、ビタミンB₆、ナイアシン、マグネシウムが必要になります。これらの栄養素が不足していると、トリプトファンが多くあっても効果的にセロトニンにはなってくれません。

ビタミンB₆は魚介類や肉類といった動物性食品に多く含まれています。ナイアシンは水溶性ビタミンB群の一種で肉類、魚介類、卵に多く、ミネラルのマグネシウムは魚介類、穀類、豆類に多く含まれています。

これらの食品を食べることが前提となるわけですが、このときに注意をしなければならないのは、腸内環境を整えること、つまり腸内細菌の善玉菌を増やして、悪玉菌を減らすようにすることです。

善玉菌の主な栄養源となっているのは糖質、乳製品(乳糖)、食物繊維です。それに対して悪玉菌の主な栄養源となっているのは動物性たんぱく質と脂肪です。肉類や魚介類を多く食べた場合や、調理に脂肪を多く使った場合には、どうしても悪玉菌が増えやすくなります。

トリプトファンからセトロニンが作られるのは、脳内が10%ほどであるのに対して、腸内が90%ほどとなっているので、腸内環境を整えることは重要です。トリプトファンが多く含まれる大豆、豆類、乳製品は善玉菌を増やすには有効になりますが、ビタミンB₆は動物性の食品に多く含まれるので、悪玉菌を増やすことにもなります。ナイアシンもマグネシウムも動物性食品のほうに多くなっているので、摂取量を増やしすぎないように、バランスよく食べることが求められます。
〔発達栄養指南:小林正人〕