個人のつながりから広がるネットワークは、例えば1人が1000人と顔見知りで、全員のことを把握しているなら安心ができるつながりであり、何か目的を持って行動を起こそうと考えたときには、大きな力となります。
1000人のつながりを示す証拠として、以前なら名刺交換が重要で、名刺の枚数が1000枚を超えると“人脈の宝庫”と呼ばれることもありました。業種によっては2000枚、3000枚が基準とされることもあるのですが、1000枚は多い数と認識されています。
ただ1000枚を超える名刺を持っていればよいということではなくて、長く仕事をしていれば、それなりの名刺が集まることもあって、再就職の面接のときに名刺フォルダーを持ってくる人がいます。
今では、会社や団体に属していたときの受け取った名刺は会社のものであるという考えが広まってきたことから、コピーや撮影画像のデータが多くなっています。それを示されても、ただの名刺交換だけなのか、それとも深い付き合いがあって人脈ごと引き連れてきてくれるのかで、まったく価値が違ってきます。
東京にいたときに全国メディア(テレビ、新聞、雑誌)の各担当者と交わした名刺は、5000枚を超えていますが、その中で仕事が変わっても交流があるのは1000人、岡山に移住してからも交流があるのは500人ほどで、このうち定期的に情報発信しているのは100人ほどとなっています。
今回のお題の「人脈の宝庫は数なのか質なのか」は、当然に数ではなくて質だということを言いたいから掲げていることです。質が高い人、著名人であっても、情報伝達が重視される社会では、その1枚の名刺やSNSから自分が求める人脈が、どこまで広がっていくかが重要になります。
数は多くても、Facebookでいえば人数制限の5000人に達していても、特別なつながりがなければ質の問題が問われることになります。Facebook友達は会ったことがある人とだけであることを誇っている人もいますが、著名な講演者は1回の講演で100人単位で友達が増え、異なるアカウントで、どんどん増え続けている例もあります。
数だけが多い名刺交換と同じような状態では、何か知りたいこと、行動を起こしたいことがあったときに連絡を取って、協力が得られるということにはつながりません。
私の場合の話をすると、Facebook友達は1000人ほどですが、途中から自分から申請しなくなったので(システムの関係か、こちらから申請できなくなっている、メッセージを送ってくれた人にはリターンでメッセージを送ることができる)、徐々にしか増えていきません。
減っていくほうが多いこともあるくらいで、よい質のつながりであってほしいとの思いから、毎日、複数の発信をし続けています。
〔小林正人〕