食物繊維を摂るというと、葉や根を食べるイメージがあります。しかし、葉と根の摂取量は昭和30年代後半の摂取量に達しています。それなのに全体的に不足しているのは、穀類や豆類、海藻類、コンニャク、キノコなどの食物繊維が足りていないからです。その中でも不足しているのは水溶性食物繊維です。
食物繊維は、その性質によって二つに分けられています。一つは不溶性食物繊維といって、水に溶けないタイプの食物繊維で、腸壁を刺激して便通をよくする働きがあり、野菜や穀類、豆類などに多く含まれています。
もう一つは水溶性食物繊維で、水に溶けるタイプの食物繊維で、海藻類、コンニャク、キノコ、果物などに多く含まれています。胃の中で水に溶けるとドロドロ状態になり、便を軟らかくして便通よくする、大腸の粘膜を保護する、食べたものが胃から腸に運ばれる時間を長くして血糖値の急上昇を抑える、胃の中で水分を吸って膨らむことで少ない量で満腹感を得やすい、溶けて有害物や脂肪などを包み込んで吸収されにくくする、といった働きがあります。
水溶性食物繊維が多く含まれる海藻類、キノコ、果物(ペクチン)は伝統的な日本食に多く使われる食材で、意識しないと摂りにくいものです。
便通の機会は、朝食後というのが一般的です。朝食を食べると、胃‐大腸反応といって、食事が胃に入ってくることで大腸が動き出して、便通をよくしてくれます。それなのに、朝食を食べていない人は増え続けています。中でも20代、30代、40代の朝食欠食率が高くなっています。
この年代からが食事の内容に注意をして、生活習慣病への備えをすべきときだけに、朝食を食べていない人、食べる量が少ない人は、水溶性食物繊維が多く含まれる食品を心がけて摂ることが必要ではないでしょうか。