免疫力は、これまで体験した細菌やウイルスに打ち勝てるように獲得してきたもので、新たな病原菌や数が増えすぎた場合には対応できなくなることがあります。活動範囲の拡大は、今までの免疫力では通じないということも引き起こすのです。
私たちの体の中で増殖することで健康被害を与える細菌やウイルスなどは、人間の体温に近い温度になるほど活発に働くことが知られています。
ウイルスは細菌とは違って、生物としての機能の一部がないために、人間などに取りつかないと生きてはいけません。人間の体の中で増殖するウイルスは、人間の体温に近づくほど活動力を高めていくだけでなく、毒性も強めていきます。
日本の海水温と食中毒を起こす腸炎ビブリオの一種のビブリオ・バルフィニカスの活動範囲を見ると、20℃のラインの北上にあわせて発生地域も北上しています。
気温が高くなるほど、これまで地域にはいなかった、もしくは少なかった細菌やウイルスなどが増え、その威力が増し、それに加えて、私たちの免疫力も低下をしたのでは、感染症が増えていくのは当たり前のことといえます。
温暖を防止するための方策は、国家レベルでも個人レベルでも、盛んに行われているところですが、気温上昇は抑えられるどころか、かえって上昇が進んでいます。となれば、私たちにできるのは免疫力を高めることです。
免疫力を高める方法として注目されているものには、体内の免疫細胞のエサとなるβ‐グルカンや、腫瘍に直接作用するナチュラルキラー細胞を活性化させる腸内細菌の善玉菌、β‐カロテンやクロロフィル(葉緑素)といった色素成分などがあります。
こういったものを活用するとともに、リラックスや笑いなどによるストレスの軽減、熟睡、血流の促進による体温上昇、入浴、適度な運動、適度な飲酒といった免疫力を向上させる日常の工夫も取り入れるようにしたいものです。