日本人の腸の長さは野菜をはじめとした消化に時間がかかる食物繊維が多い食品を食べるのに優位となっていますが、今では、その利点が活かされていません。
食物繊維の目標として『日本人の食事摂取基準』では1日に男性では20g、女性では18gがあげられています。それ対して、実際の摂取量は男性が14.9g、女性が14.2g(平成27年国民健康・栄養調査)と目標量には達してはいません。20gの食物繊維を摂るためには野菜の摂取量として350gが目標値とされています(厚生労働省「健康日本21 第2次」)。ところが、実際の摂取量は男性が299.4g、女性が288.7g(平成27年国民健康・栄養調査)と、やはり目標量には達していないのです。
1日に20gの食物繊維というと、昭和22年(1947年)には27g、昭和30年(1955年)20gとなっていたので、その当時の摂取量を目指しています。食物繊維を摂るように言われると野菜の葉や根の部分を考えるかもしれませんが、これらの量は昭和30年と同様の量を摂っています。足りていないのは穀類、豆類、キノコ、海藻類の食物繊維で、これらの食物繊維を増やすことを考えたいものです。
食物繊維には、水に溶けない性質の不溶性食物繊維と、水を吸収して膨らむ性質の水溶性食物繊維があります。不溶性食物繊維は腸壁を刺激し、腸内の有害物質を排出する作用があり、便の量を増やして便秘を予防する働きがあります。不溶性食物繊維は腸内細菌によって発酵しやすく、善玉菌を増やして腸内環境を改善してくれます。ボソボソした食感が特徴で、多く摂りすぎると便を硬くする作用もあります。水溶性食物繊維も善玉菌を増やしますが、便を軟らかくする作用があります。これらの食物繊維をバランスよく摂ることが大切になります。