Medical Diet101 肝臓と血糖値の関係

血糖値が低下すると肝臓は血液中にブドウ糖を放出します。血糖というのは血液中のブドウ糖のことで、食事によって血液中にブドウ糖を補うことで血糖値が正常に保たれるようになります。血液中のブドウ糖が多くなると膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、全身の細胞にブドウ糖が取り込まれます。血糖値が高い状態が長く続くと、膵臓からインスリンが分泌され続け、限界まで膵臓が働くと急に放出量が減少するようになります。そのために細胞にブドウ糖が充分に取り込まれなくなって、血糖値が高い状態が続くのが糖尿病です。
肝臓はブドウ糖の貯蔵庫でもあって、血糖値が低下すると放出して、上昇すると放出量が低下します。肝臓は血液中のブドウ糖に反応しているわけではなくて、肝臓の細胞が取り込んでいるブドウ糖の量です。インスリンを使ってブドウ糖を取り込んでいるのは肝臓の細胞も同じで、インスリンが不足した状態では肝臓に取り込まれるブドウ糖が減って、血糖値が高くても肝臓は血糖値が低いように反応します。
そのために血糖値が高いのに、さらにブドウ糖が追加されて、また膵臓に負担をかけるようなことになるのです。肝臓は取り込むブドウ糖が極端に少なくなると、体内のブドウ糖が減ったように反応して、糖新生が起こります。糖新生というのは、脂肪酸やアミノ酸からブドウ糖を合成する代謝経路で、緊急時に起こることです。緊急時というのは何日も食事が取れなかったような状況を指していて、そのようなときに起こる反応がインスリン不足では肝臓の中で起こっているのです。
インスリンの分泌を増やすには、血糖値を低めに抑えることが必要で、そのためには運動をすることによってエネルギー代謝を高めることです。糖尿病の治療というと血糖降下剤が使われますが、その前提となるのは食事療法と運動療法です。運動療法が必要とされる理由の一つが肝臓の働きになるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)