体脂肪というのは体内に蓄積された脂肪のことで、内臓脂肪と皮下脂肪に分けられます。体内の脂肪は、肝臓や脳などのほか全身の器官に分布されていますが、エネルギー源として蓄積されているのは脂肪細胞の中の中性脂肪です。
この中性脂肪を燃焼させることをうたったサプリメントやダイエット法などがあります。この運動をすれば脂肪細胞の中の中性脂肪が燃焼するというコメントをする医師などの専門家もいるのですが、大雑把に言えば間違いではないのかもしれませんが、正確には間違いの発言となります。
中性脂肪は蓄積型の脂肪で、重要なエネルギー源であるために簡単には分解しないようになっています。分解させるには身体を動かして興奮状態になったときに分泌されるホルモンのアドレナリンが必要で、アドレナリンによって中性脂肪が分解されて脂肪酸になります。中性脂肪は脂肪酸が3個、結びついたものです。
分解された脂肪酸は血液中に放出されます。脂肪酸をエネルギー化するのは全身の細胞だと説明されることが多いのですが、エネルギー化されるのは細胞の中のミトコンドリアにあるTCA回路で、TCA回路は脂肪細胞の中には存在していません。脂肪細胞は、あくまで中性脂肪を蓄積するところで、エネルギー化しては役目を果たせなくなるからです。
血液中に入った脂肪酸は全身の細胞に運ばれますが、中でもミトコンドリアが多いのは筋肉です。主には筋肉で、脂肪酸がエネルギー化されますが、燃焼しているわけではありません。
TCA回路では脂肪酸が変化したアセチルCoAが別の酸に変化して、9段階の変化を経てエネルギー物質のATP(アデノシン三リン酸)が発生します。その後、ATPからリンが1個はずれてADP(アデノシン二リン酸)になるときにエネルギーが発生します。
ということで、脂肪は脂肪細胞の中で燃えることもないし、筋肉の中でも燃えてはいないということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)