血圧計というと、今ではデジタル式が普通のことで、水銀血圧計を目にすることは少なくなっています。しかし、血圧測定は水銀測定が基本となっています。血圧の単位はmmHgと表されていますが、Hgは水銀のことで、血圧が120mmHgというのは水銀を120mm押し上げる圧力で血管を圧迫しているということです。
水銀血圧計で測定すると、それほど大きな上下動の変化ではないので、血圧が弱く感じられるかもしれませんが、水銀は比重が大きいので押し上げにくくなっています。水銀の比重は13.5g/cmで、水に対する密度で示されています。水の比重を1g/cmとして、その何倍かで比重が測定されます。
血圧が120mmHgというと収縮期血圧の正常範囲の下のほうですが、「120mm×135」は1620mmで、1m62cmとなります。つまり、水であったら身長の高さまで押し上げる力がかかっていることになります。血液の比重は男性では1.052〜1.060、女性では1.049〜1.056と違いはあるものの、ほとんど水と変わりません。ということで、120mmHgの血圧でも吹き出したら身長と変わらないほど吹き上げる勢いになっています。
これは血圧が200mmHgと危険とされる高血圧では、「200mm×135」で2m70cm の高さまで吹き上げる勢いになります。
これだけの勢いが血管を流れているときに血管壁にかかり続けていたら、血管に大きなダメージが与えられるのは当たり前のことです。血流は血管が曲がっているところに強く流れ、大きな圧力をかけています。これは川の流れが激流になると堤防を削って崩壊に向かわせるのと同じことで、血管が徐々に傷んでいって切れやすくなり、回復しにくくなっていきます。
そういった状態であるので、メディカルダイエットの上級講習では、太っていることで発症しやすい高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)との関係を紹介しているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)