糖尿病の最大の原因は血糖値の上昇で、血糖値を上昇させなければ糖尿病は予防・改善できると考える人が多くいます。それは医師にしても同じことで、血糖値を上昇させるブドウ糖が含まれる糖質さえ減らせば糖尿病は予防できる、改善できると思い込んでいる人も少なくありません。
血糖は血液中のブドウ糖のことで、ブドウ糖が含まれる糖質が少なければ、血糖値が上昇しにくいのは当然のことです。そのために糖質制限をさせて、これによって血糖値が下がれば糖尿病が治ったかのように発言する医師もいます。しかし、血糖値が下がれば糖尿病が治ったわけではなくて、糖尿病の原因になる膵臓から分泌されるインスリンの分泌量が平常の状態に戻らなければ治ったとは言えないのです。
元の生活をしても、血糖値が保たれる状態であるのが治ったという状態で、治療中と同じ食生活が強いられるような状態を治ったとは認めにくいということです。
血糖値が急上昇して、なかなか下がらないのはインスリンの分泌量が減ったからです。高血糖状態が長く続くと膵臓への負担がかかりすぎて、膵臓が疲弊してインスリンの分泌が大きく低下します。インスリンはブドウ糖を細胞に取り込ませるために欠かせないもので、インスリンが不足すると血糖値が下がらなくなります。
インスリンの働きはブドウ糖の取り込みだけではなくて、肝臓で脂肪を多く合成して、これを脂肪細胞に取り込む働きもしています。食事で摂取する脂肪が多くなると、インスリンが多く分泌されて、そのことも膵臓に負担をかけます。肉食が歴史的に多い欧米人はインスリンを多く分泌させてきたので膵臓の能力が高くなっています。
それに対して日本人は歴史的に脂肪の摂取が少なくて、また糖質を多く摂取することもなかったので、膵臓の働きが弱くても生き抜くことができました。そんな体質なのに、急に食生活が変わったので、脂肪とブドウ糖が多いことで、対応しきれなくなり、糖尿病になりやすくなってしまいました。「国民健康・栄養調査」によると、日本人(成人)の5人に1人は糖尿病か、その予備群という状況になってしまったのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)