Medical Diet154 よく噛むよりも“よく噛める食品” が正解

ダイエットに限らず、一口について噛む回数を30回にすることがすすめられます。これは一つには、しっかりと噛んで消化しやすいことであり、もう一つは噛む時間を長くすることで満腹感を感じやすくさせることを目的としています。

満腹中枢は血糖値に反応します。血糖値が上昇して満腹中枢が働くまでには10〜15分はかかるので、食事にかける時間が長くなると食べている途中で満腹を感じて、余計な量を食べずに済むからです。

噛む回数を特に教えていない3歳児でも7〜8回は噛んでから飲み込んでいます。大人なら硬めの食べ物を食べているので20回以上は当たり前と思われるのですが、食事を注目すると15回以下ということが多くて、中には7〜8回くらい噛んで飲み込んでいる人もいます。

カレーは飲み物だ、と表現されることがあり、飲み込みやすい料理だと3〜4回ということもあります。咀嚼という言葉があります。咀嚼は5〜6回ほど前歯で粗く噛んでから、次に奥歯で細かくすり潰すことを指しています。噛む回数が少ない人は、粗噛みだけで飲み込んでいることになります。これでは消化が不十分になり、せっかくの栄養素が充分に吸収されなくなってしまいます。

といって噛む回数を増やせばよいということではなくて、軟らかい料理で20回から30回も噛んでいたら、口の中はグチャグチャの状態になってしまいます。よく噛んで食べようということではなくて、よく噛んで食べられるものを食べるというのが正解ではないでしょうか。

食物繊維が多く含まれる食品は、料理として水分量が多くても、噛むのに時間がかかり、飲み込むまでの時間が長くなります。食物繊維が多い野菜、根菜類などの量を増やすことが健康的な咀嚼と消化、吸収には必要なことなのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)