メディカルダイエットの手法として、運動と食事のタイミングとしては、先に運動をしてから食事をすることをすすめています。その理由として、空腹時の運動は血糖値が下がっていることから、筋肉に保存されているグリコーゲンが分解されて、血液中にブドウ糖が放出されることで、肝臓での脂肪合成が抑えられるという仕組みを紹介しています。
グリコーゲンは貯蔵型の糖質で、多くのブドウ糖が結合した形となっています。運動後に食事をすると、肝臓でのグリコーゲンの合成が進みます。そのために血液中のブドウ糖が減り、血糖値が下がります。膵臓からは血糖値に応じて、インスリンが分泌されます。血糖値が下がれば、インスリンの分泌量が減ります。
インスリンには肝臓で脂肪酸の合成を進める働き、脂肪酸を結合させて中性脂肪を合成する働き、中性脂肪を脂肪細胞に蓄積させる働きがあります。この働きを抑えるために、ダイエット目的の場合には空腹時の運動を推奨しているわけです。
同じ運動をすれば、食後でもよいのではないか、という考えがされることもあります。運動効果が弱いのであれば、その分だけ運動にかける時間を長くすればよいだろうという考えです。しかし、食後は食事で摂取した糖質に含まれるブドウ糖のよって血糖値が上昇して、インスリンが多く分泌されます。
インスリンには、脂肪の分解を抑制する作用もあります。そのために、血糖値が高い状態での運動は、脂肪細胞に蓄積された中性脂肪が分解されにくくなり、血液中に放出される脂肪酸も少なくなります。
運動によって消費したい脂肪酸が少ない状態では、運動による体脂肪減少の効果が現れにくくなっているのです。同じだけの運動量でより効果を高めるためには、やはり食事前の空腹状態での運動がよいということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)