肝臓では糖質、脂質、たんぱく質を材料にして脂肪酸が合成されています。脂肪酸が3個つながると中性脂肪になり、これが脂肪細胞の中に取り込まれると蓄積タイプの体脂肪となります。
肝臓で脂肪酸が合成されるときには、脂肪酸合成酵素が働きます。脂肪酸合成酵素は肝臓の中に蓄積されているだけでなく、脂肪細胞からも放出されて肝臓に送られます。脂肪細胞による脂肪酸合成酵素を増やしているのは、想像しにくいかもしれませんが、カルシウムです。
カルシウムが影響するというとカルシウムの摂りすぎが原因にように思われがちですが、それとは逆にカルシウムの不足によって血液中のカルシウムが増えていきます。これはカルシウムパラドックスと呼ばれることで、食事によるカルシウムが不足すると全身の細胞で働くカルシウムを確保するために、骨の中のカルシウムが溶け出して血液中に放出されます。
不足した分だけが溶け出てくれればよいのですが、多く溶け出ることが多くなっています。この多くなりすぎたカルシウムは細胞細胞の中にも送られていきます。
カルシウムは脂肪細胞にとっては不要なもので、これを脂肪細胞の中から押し出すためには中性脂肪を多くすることが必要で、そのために脂肪酸合成酵素が多く作られることになります。そして、脂肪細胞の中の中性脂肪が増えて、太っていくことになります。
このメカニズムを知ると、カルシウムを多く摂ることでやせるのではないかと期待する人もいるのですが、不足すると太るということであって、ダイエット効果があるわけではないのです。
カルシウムは日本人にとって一番不足しているミネラルで吸収率も平均すると30%ほどです。最も吸収率が高い乳製品でも40%ほどなので、思ったよりも多くの量を摂る必要があるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)