Medical Diet167 脂肪酸合成酵素と肥満遺伝子タイプ

エネルギー源として摂取した糖質、脂質、たんぱく質が、体内で使用するエネルギー量を超えたときには、それが脂肪として体内に蓄積されるというのが一般的な認識です。蓄積される脂肪は中性脂肪で、脂肪酸3個が結びついた形になっています。脂肪酸が体内で多く作られると、それだけ中性脂肪が多く作られて、脂肪細胞に中に溜められていきます。

脂肪酸が合成されるのは肝臓で、肝臓にエネルギー源が多く運ばれてくれば、それで脂肪酸が多く作られるわけではありません。脂肪酸を多く作り出すのは、肝臓の中で働く脂肪酸合成酵素です。脂肪酸合成酵素の量が多ければ脂肪酸が多く作られ、脂肪酸合成酵素の量が少なければ脂肪酸が作られる量が少ないという関係性になっています。

脂肪酸合成酵素が多い人は、同じ食事量であっても脂肪酸が増え、中性脂肪が増え、そして脂肪細胞の蓄積される中性脂肪が増えます。この中性脂肪が体脂肪と呼ばれます。脂肪酸が多いかどうかに関わっているのは、肥満遺伝子です。

体内の肥満に関わる遺伝子は40種類以上あるのですが、その中で特に体脂肪の蓄積に大きな影響を与えているのは3種類の遺伝子です。

日本人に特に影響を与えている肥満遺伝子として、β3アドレナリン受容体遺伝子、脱共役たんぱく質1遺伝子、β2アドレナリン受容体遺伝子の3種類があげられます。

β3アドレナリン受容体遺伝子タイプは、一般にはリンゴ型肥満と呼ばれ、糖質を摂ることで内臓脂肪が蓄積されやすく、腹部から太っていく特徴があります。

脱共役たんぱく質1遺伝子タイプは、脂肪の代謝が低いために皮下脂肪がつきやすく、下半身から太っていくことから洋ナシ型肥満と呼ばれます。

β2アドレナリン受容体遺伝子タイプは、体脂肪が蓄積されにくく太りにくい体質ではあるものの、筋肉がつきにくいためにバナナ型肥満と呼ばれます。このタイプはエネルギー代謝が低いので、太り始めると、なかなかやせにくい特徴があります。

遺伝子のタイプは、口腔内の粘膜を採取して分析する遺伝子検査によって確認することができます。しかし、3種類の遺伝子タイプは明らかな特徴があるため、3タイプの体質と生活で該当するものをチェックして比較することで見極めることができます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)