東京にいたときは、メディカルダイエットの指導の対象者はエステティシャンからアマチュアレスリングの女子選手、女子プロレスラーから現役力士まで、さまざまでした。女子プロレスラーは現役を引退した方です。
その依頼をしてきたのは“女の中の男”と呼ばれるカリスマで、「心が折れる」という言葉の起源となった伝説の試合を繰り広げていた“憧れの女性”だったので、すぐに引き受けました。
その話は別のところで書いていますが、今回は現役力士と親方のメディカルダイエットの話です。現役力士に対する指導の依頼内容は、いわゆるダイエットのやせるということではなくて、筋肉を増やすほうのメディカルダイエットです。
単に筋肉運動を増やすのではなく、エネルギー代謝を高めて、筋繊維(筋肉細胞)の中で作り出されるエネルギーを増やして、このエネルギーを使って筋繊維を太くする方法で、運動の種類と運動後の食事内容、食後の効果的な睡眠が、その内容となります。
早朝の稽古は空腹状態で激しく身体を動かして、その後にたんぱく源を摂って、食べてから熟睡することで成長ホルモンを増やして、筋肉量を増やそうとするものです。現役力士は見た目では太っているようでも体脂肪率は低くて、一般の成人(25〜30%)よりも筋肉質というのは普通のことです。
一般の人には「食べてから、すぐに寝ると太る」ということで食べてから寝るまでの時間を空けることが指導されるのですが、現役力士に限っては食べてから寝るのが重要になるのです。
力士と書けばよいところを、わざわざ現役力士と書いたのは、現役を引退した親方からのメディカルダイエットの依頼もあったからです。現役を引退しても、これまでの食習慣を変えるのは難しくて、食事量は多いのに運動量は少ないという不健康に太る生活習慣であるので、こちらは方法としては簡単です。
ただし、体脂肪を減らすために有効な有酸素運動のウォーキングやランニングを継続するのは体格的に難しいことなので、体重に耐えられる特殊なバランスボールを使ったバウンド運動、これも強度なエアロバイクでの有酸素運動を指導しました。
これは個室で、弟子にも見られずに続けられるので、体脂肪を落として、長生きしたいという親方の希望に沿った結果を提供することができました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)