動物性の食品に含まれている脂肪は中性脂肪です。脂肪細胞に蓄積される中性脂肪も中性脂肪なので、脂肪細胞の中の中性脂肪を減らすためには、食事で摂る中性脂肪を減らせばよいと単純に考えられがちです。しかし、中性脂肪が多く含まれる肉の摂取量を減らせば、それだけで脂肪細胞の中の中性脂肪が減らせるわけではありません。
中性脂肪は大切なエネルギー源で、同じ重量であれば脂肪酸は糖質(ブドウ糖)、たんぱく質(アミノ酸)よりも多くのエネルギー量があります。1gあたりでは脂肪酸は約9kcalで、糖質とたんぱく質の約4kcalと比べると2倍位以上のエネルギー量となっています。同じ容量で多くのエネルギーを体内に蓄積できるということで、余分となった糖質もたんぱく質も脂肪酸に変化しています。その変化させる場所は肝臓です。
全身の細胞には脂肪酸シンターゼという脂肪酸合成酵素があり、糖質やたんぱく質を脂肪酸に変化させています。脂肪酸合成酵素が特に多く存在しているのは肝臓です。肝臓で合成された脂肪酸は、肝臓の中で結合して中性脂肪となります。この中性脂肪が血流に乗って脂肪細胞まで運ばれて、蓄積されることになります。
脂肪は肉だけでなく、魚にも植物性食品にも含まれていますが、これも体内で多くなりすぎたときには肝臓で中性脂肪に変化していきます。だから、脂肪細胞に蓄積される中性脂肪を減らそうとしたら、食事で摂る脂肪だけを減らすのではなく、全体の摂取エネルギー量を減らすことを考えるべきです。
運動をして脂肪細胞の中性脂肪が分解されれば、運動のために脂肪酸がエネルギーとなるので、脂肪酸を減らし、中性脂肪も減らせます。脂肪細胞の中の中性脂肪の分解はアドレナリンが作用していて、アドレナリンは運動だけでなく、カフェインが含まれたお茶でも、唐辛子のカプサイシンなどが含まれた辛いものでも、体内に取り入れれば分泌されます。
それでやせられるのかというと、運動によって消費されなかった脂肪酸は、余計なものとして再び肝臓で中性脂肪に合成され、結局は脂肪細胞の中に蓄積されます。だから、中性脂肪を減らすためには、運動によってアドレナリンを分泌させる必要があるということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)