飲酒すると太るのは多くの人が経験していることです。アルコールのエネルギー量は1gが約7kcalとなっています。糖質とたんぱく質が約4kcal、脂質が約9kcalなので、エネルギー量が多いことは確かです。しかし、約7kcalというのは100%アルコールの場合であって、アルコール度数が25%(25度)では4分の1のエネルギー量になります。
飲酒をすると体温が高まり、それにエネルギーが使われるので、思ったよりも飲酒をした分に比べて体内に残るエネルギー量、つまり体脂肪となる分は多くはないのです、それでも飲酒をすると太るのは、食欲が増進して、飲酒とともに食べるものが増えることも影響しています。
それよりも大きいのは体内での脂肪合成です。余分に摂ったエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)は、肝臓で脂肪酸に合成されて、その後に脂肪酸3個が結びついて中性脂肪となります。この中性脂肪が脂肪細胞に蓄積されていきます。脂肪合成を進めるホルモンは膵臓から分泌されるインスリンで、インスリンは血糖値(血液中のブドウ糖の量)が上昇すると多く分泌されます。これはインスリンにブドウ糖を細胞に取り込ませる働きがあるからです。
インスリンには、もう一つの働きがあり、それは肝臓での脂肪合成を進めることです。アルコール飲料には糖質が含まれています。飲酒時に食べるものにも糖質が含まれ、シメとして食べるものの多くはブドウ糖が含まれる糖質です。
さらに脂肪合成が進む仕組みもあって、アルコールによって肝臓の中にある脂肪酸合成酵素の働きが高まります。脂肪酸合成が進めば、当然のように中性脂肪が増えていきます。飲酒をした翌日に血液検査をすると中性脂肪値は上昇しています。摂取したアルコールが多いほど中性脂肪値が上昇しやすいことからも、アルコールの影響は大きいのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)