Medical Diet35 乳酸を有効に活用する有酸素運動

運動をして筋肉の中で乳酸が多く作られると筋肉の動きが悪くなることについては前回、その仕組みについて紹介しました。乳酸そのものは疲労物質ではないものの、多く発生すると筋肉が動きにくくなって、いやでも身体を休ませないといけなくなります。乳酸は筋肉が激しく動くほど多く発生しますが、中でも筋肉を直接刺激する無酸素運動の筋トレでは発生量が多くなります。そのために運動後には乳酸を分解することが求められます。
乳酸は、もともとが糖質であったことから、運動によってエネルギー源として使うことで減らすことができます。その運動として無酸素運動すると、さらに乳酸が発生することになります。有効となるのは有酸素運動で、ウォーキングやジョギングのように筋肉の負荷がかかりにくく、酸素を用いたエネルギー代謝が高まる運動です。
最も激しく筋肉を刺激する運動といえばボディビルなどの筋トレです。ボディビルダーというと筋肉が重すぎることから走るのは苦手だと思われがちですが、一流のボディビルダーは乳酸を作るだけ作ったあとにジョギングによって乳酸を分解して、エネルギーを作り出しています。このエネルギーが筋肉を増やすためにも使われ、次の筋肉運動のためのエネルギーにもなります。そういったことから、ボディビルのフィットネスクラブの多くには、ランニング&ウォーキングマシンが備わっています。
最大限の力を発生させる運動の強度は最大酸素摂取量で表されます。100%が最大とすると70%の強度のときにはエネルギー代謝が盛んになって乳酸が消費されるうえに、乳酸が発生しにくい運動量となっています。これは乳酸を減らす効果だけでなく、脂肪酸の代謝が高まり、効果的に体脂肪を減らすための運動にもなります。
その強度というのは個人差があるものの、ウォーキングなら、なんとか会話ができる程度の早歩きで時速にすると7km、ジョギングなら時速12kmくらいの強度となります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)