飲酒をして太ることはあっても、やせることは原則としてありません。アルコールには摂取エネルギー量に加えて、肝臓での脂肪合成を進める作用があるからです。飲酒をすると濃い味のものをおいしく感じます。濃い味というのは塩味などの味付けだけでなくて、脂肪が多い食材を使った料理も濃く感じます。そのために、飲酒をしながらの食事は、どうしても脂肪が増えて、摂取エネルギー量が多くなりがちです。
食べるものが変わらなければ、それほど多くのエネルギー摂取にはならず、計算上では日本酒1合換算(同じアルコール量)で240kcalと、茶碗1杯分のご飯と同じくらいのエネルギー量が増えるだけとなります。しかし、それは計算上のエネルギー量であって、飲酒をすると体温が上昇します。
アルコールは1gあたり約7kcalのエネルギー量ですが、体温上昇には30%ほどが使われるので、実際に摂取されるのは1gあたりで「7kcal×70%=49kcal」となります。日本酒1合で240kcalだとすると70%の摂取で168kcalとなり、1日3食で茶碗1杯分のご飯を減らせばよいことになります。
飲酒をすると、しないときよりも体脂肪が増えるのは間違いがないことですが、飲酒をした翌朝には体重が減っていることがあります。それは体脂肪が減ったのではなくて、水分が減ったことと関係しています。お酒を飲むとトイレに行きたくなりますが、これは飲酒によって水分を多く飲んだことが大きな原因ではありません。体内の抗利尿ホルモンのバソプレッシンが作用して、腎臓での水分再吸収を促進させて、体内の水分を保つように調整されています。体内の通常の水分量は60%ほどとなっています。
ところが、飲酒をするとアルコールによってホルモンの分泌が妨げられて、必要以上に水分が失われることになります。そのための体内の水分量が減り、体重が減るという結果になります。体重が減ったらよいということではなくて、あくまで減らしたいのは体脂肪なので、喜んでいるわけにはいきません。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)

