筋肉は基礎代謝のうち30〜35%のエネルギーを消費しているので、筋肉量が多いほど代謝が高まるということで、筋肉トレーニングに取り組む、もしくは取り込もうとする人は多いはずです。もちろん、筋肉トレーニングは、しないよりもしたほうがよいわけですが、筋肉が増えれば脂肪の代謝が高まると単純に考えることはできません。
筋肉は白筋と赤筋に大きく分けられます。白筋は瞬発力の筋肉で、強い負荷がかかる運動で強化(太く)していくことができます。そのエネルギー源となっているのは、すぐにエネルギー化されるブドウ糖です。
赤筋は持久力の筋肉で、軽い負荷が継続的にかかる運動によって強化していくことができます。赤筋のエネルギー源となっているのは脂肪酸です。ということは、脂肪を代謝させるためには、赤筋を強化する持久系の運動が効果的で、中でも有効なのは有酸素運動のウォーキングです。歩いて脂肪を効果的に代謝させるためには、歩いて筋肉を増やすのが一番だということです。
これと同時に行ってほしいのは、白筋と赤筋の中間的な性質のピンク筋(桃色筋)を増やすためのスクワットです。スクワットは軽い膝の曲げ伸ばしを繰り返す方法から、しっかりと腰を落として時間をかけて行う方法があり、一般には負荷がかかるスクワットが推奨されます。しかし、この方法で強化されるのは主に白筋のほうです。
白筋は通常の運動では白筋のままですが、ポンプ作用で酸素を白筋の中に送り続ける運動をすると白筋がピンク筋に変化していきます。これは赤筋に多いミオグロビンが増えていくからです。ミオグロビンは筋肉の中にあって、酸素を代謝に使われるまで貯蔵する色素タンパク質です。白筋の中に酸素が多く取り込まれるようにするとミオグロビンを増やすことができるのです。
そのためのスクワットは、スロースクワットと呼ばれていて、軽い負荷の早いスクワットと強い負荷のスクワットの中間的な速度で、膝の角度が90度になる程度に膝を曲げ、5秒で曲げて5秒で伸ばすということを繰り返します。この方法によって、筋肉細胞の中でエネルギーを作り出す小器官のミトコンドリアを増やして、脂肪の代謝を高めることができるようになるというメリットもあります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)