ダンベルダイエットは、一時期大流行したもので、国立大学の教授が提唱者だということもあって、テレビ番組でもコーナーが設けられるほどの人気ぶりでした。そのときに注目されたのは、「女性でも筋肉を増やせば自然に脂肪が燃える」ということでした。テレビ番組では、基礎代謝(全消費エネルギー量のうち約70%)のうち35〜38%は筋肉が消費しているので、筋肉が増えた分だけ脂肪が燃焼するということでした。
ここから疑問があって、その教授が学会で発表していたのは35〜38%というのは男性を対象としたもので、しかも体育系の学生の結果でした。若くて運動をしている男性の結果をもって、一般の女性に当てはめるのはどうかと思いますが、一般には30〜35%とされています。
これ以上に疑問があるのは、やせるというのは体脂肪の減少を指していて、ダンベル運動によって刺激される筋肉は白筋です。白筋は短時間に強い負荷がかかる状態に対応できる筋肉で、そのエネルギー源になっているのはブドウ糖です。
減らしたいのは脂肪細胞に蓄積された中性脂肪です。脂肪細胞の中性脂肪は運動をして興奮ホルモンのアドレナリンが分泌されることによって分解されて脂肪酸となります。脂肪酸をエネルギー源として代謝させるのは赤筋です。このことからいうと、ダンベル運動によって筋肉をつけて脂肪を減らすというのにも疑問を抱くべきことです。
さらに言うと、“燃焼”とはいうものの、脂肪酸は体内では燃えていません。脂肪が燃えるためには300℃以上の温度が必要になるのですが、人間の体温は42℃以上にはならないので、どう考えても燃えるような温度にはならないのです。
ダンベルダイエットを提唱した教授は、レスリングの国際チームの体重コントロールを担当していて、私も女子チームの体脂肪コントロールの活動に呼ばれ、その成果がメディカルダイエットの運動と入浴の実施タイミングによるエネルギー代謝促進の研究の始まりとなっています。それだけに否定はしにくいのですが、生理学的な研究の現状からいうと、否定に傾く結果が出るのも仕方がないところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)