Medical Diet83 食事前の入浴の効果が確認されたきっかけ

メディカルダイエットの組み合わせ手法の始まりは、入浴と食事のタイミングでした。女子レスリングの体重コントロール研究チームに加わったときに、他のメンバーは医師以外では運動科学、栄養学などの専門家が多く、自分だけが異端者でした。専門家の範疇に踏み込まないように、運動でも栄養でもない入浴という切り口を打ち出しました。
運動によって自律神経の交感神経の働きを高めてから食事をすると、膵臓から分泌されるインスリンが減り、肝臓で合成される脂肪酸を減らすことができることは、複数の大学の研究によって明らかにされていて、食事の前に筋肉運動をさせるということが行われていました。さらに食後にも筋肉運動をさせて、インスリンの分泌を抑えるということが行われていました。
しかし、全体的な栄養の吸収のことを考えると、食後はリラックス状態でいることで自律神経の副交感神経の働きが盛んになって、胃液の分泌量が増えて消化が進み、腸の働きが高まって吸収がよくなるという仕組みになっています。そもそも食事をして時間を開けずに運動をするのは全身の負担が大きくなります。
そんなこともあって、交感神経の働きを盛んにするためなら、入浴を利用すること、42℃以上の温度のお湯に入ることで充分ではないかと発言しました。初めのうちは賛同者はいなかったのですが、少しでも体脂肪を減らしたいという思いの選手が実践してくれて、効果が得られることがわかりました。徐々に自主的に取り組む選手が増えて、栄養学も運動科学も関係のない「入浴×食事」のタイミングという新たな手法の研究が始まりました。
最も効果が高い食事のタイミングと、これを取り入れることで効果が得やすい選手の条件もわかってきました。それについては次回に続きます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)