女子レスリング選手の体重コントロールは、男子選手のように筋肉量を増やす、脂肪量を減らす、もしくは逆に筋肉量を減らす、脂肪量を増やすという方法は使いにくくなっていました。体重コントロールの対象となっていたのは、まだ成長期にある若い選手で、体脂肪を増やすようにホルモンが多く分泌されている時期に、男子選手と同じ手法は使えなかったからです。
この体重コントロールのチームに参加して、入浴の温度によって、その後の食事によるインスリンの分泌量が違い、自律神経の交感神経を刺激する42℃以上の高めの温度での入浴がインスリンの分泌を減らし、肝臓での脂肪合成を減らすことがわかりました。
入浴と食事のタイミングは1日に3回あるわけですが(朝食、昼食、夕食)、男子選手では、どの食事のタイミングでも結果が得られました。それに対して女子選手は、脂肪が特に増えやすい時間帯でないと、効果が出にくくなっていました。その時間帯というのは夕食を食べる時間のことで、自律神経は交感神経よりも副交感神経のほうが働きが盛んになっています。
副交感神経は胃液を多く分泌させ、腸の吸収力も高めています。膵臓から分泌されるインスリンの量も増えます。夕食は、しっかりと食べて摂った栄養を身体に取り込むためのもので、夕食後には通常では激しい運動はしません。運動選手は別にしても、身体を休めて、翌日の活動のためのエネルギー源を蓄積するための時間帯です。
それと違ったことをするのが入浴による交感神経の刺激で、高めの温度での入浴は交感神経の働きが盛んになったままで夕食を食べることになるので、胃液が減り、腸からの吸収が減り、インスリンの分泌量も減らすことができます。この結果は、運動選手でなくても誰にも言えることとはいっても、入浴は心身ともにリラックスする重要な機会です。そこで、ぬるめのお湯でリラックスしてから、最後に熱めのシャワーを浴びて交感神経に切り替える方法をすすめています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)