医療行為を実践する中心は医師です。医師の指示のもとに診断が行われ、診断結果に基づいて治療が始まり、それを医療スタッフが分担して対応します。検査を行うのも医師の指示のもとであり、医薬品の指示は処方箋によって、入院患者に提供される食事の場合には約束食事箋に従って提供する栄養素の内容が決まります。
全体をコントロールするための知識は医学教育(医師養成大学)で学んでいるからできることで、健康状態を維持・増進するための知識は、教育を受けて、医師国家試験に合格していれば、すべての医師に備わっているという認識が得られています。
それが間違いないことであれば、医師の指示の通りに食事をして、運動をしていれば病気の治療だけでなく、健康を維持・増進することができることが期待できるはずです。
そのような考えから、診察のときに医師に健康のための食事について聞く人、聞いてみようと考える人は多いかと思います。実際に聞いたときの医師の反応(対応)は概ね二つに分かれます。
一つは答えてくれないか食事に関するプリントなどの資料を渡すくらいしかしてくれない医師で、もう一つは患者の期待に応えるように詳しく教えてくれる医師です。診察の時間が大抵は限られているので、詳しく答えるといっても、もちろん限界はあります。
詳しく答えてくれない理由の詳細については次回のコラムにさせてもらいますが、一つの詳しく答えてくれる医師は、二つのタイプがあります。その一つは栄養摂取(医学の世界では臨床栄養と呼ばれている)について勉強していて、自信をもって答えている場合です。
もう一つが問題とされることで、充分に臨床栄養を学んでいないか、学んでいたとしても詳しくないのに答えてしまう場合があるからです。次回の内容を少しだけ先にしておくと、医師は大学の教育の中で全員が栄養学を学んでいるわけではないからです。
また、学んでいたとしても、栄養指導を受けようとする人が期待するような栄養学の基本から応用までを学ぶことができないカリキュラムの医師養成大学が多く、それが今も続いているという実態があるからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕