厚生省と労働省が統合されて厚生労働省が発足したのは2001年のことで、厚生労働省の英語表記は「Ministry of Health,Labour and Welfare」となりました。この名称には健康に(Health)、働き(Labour)、安心して生活を送る(Welfare)との厚生労働行政の考え方が示されています。
統合しての取り組みは厚生労働省となってから始まったわけではなくて、1988年に労働安全衛生法の改正に伴い、健康保持増進が事業者の努力義務となったことをきっかけにして始まったTHP運動でも厚生省と労働省の統合した活動の動きがありました。
THPは 「Total Health Promotion Plan」の略称で、働く人の心身の健康づくりを目指して企業が取り組む計画のことで、「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」が策定されました。
THP運動は、推進のために5つの職種の連携が進められました。そして、健康測定を担当する医師(産業医)の指導のもとに、運動指導のヘルスケア・トレーナー、栄養指導の産業栄養指導者、保健指導の産業保健指導者、メンタルヘルスケアの心理相談員が設けられました。
それぞれの専門家による団体(ヘルスケア・トレーナー会、産業栄養指導者会、産業保健指導者会、心理相談員会)は1992年に相次いで設立されましたが、私は産業栄養指導者会の設立に参加しました。設立を主導した国立病院出身の管理栄養士が代表であった病院栄養管理研究所で、私は当時は主任研究員を務めていました。
それぞれの専門家が専門性を活かして活動するためには、他の専門家の基礎的な知識が必要であるとの考えから、4つの資格者による心とからだの健康づくり指導者(THP指導者)が設けられて、合同の講習や各団体の交流学習が盛んに行われました。
これが健康づくりを組み合わせて実施する活動の始まりであり、行動変容を促す活動の基本となっています。
どのプログラムに取り組むか(指示されるか)は医師の診断によって定められますが、それは大規模な医療機関の総合診療科と似たようなところがあります。初めに全体的な判断をして、それから専門診療科に引き継がれます。
これと同じことを予防を目的とした健康づくりで行おうとするときにもTHPの発想をしています。この場合のTHPのPはプロモーションではなく、プログラム(Program)としています。これについては次回以降に触れていくこととします。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕