疾病の治療といえば医療行為が一般的で、食事や運動は、その補助的な位置づけとされています。予防ということになると、食事と運動は重要なことであっても、食事だけ、運動だけ、食事と運動の組み合わせだけで治療を行うという認識はされていません。
確かに、重症となったときには、食事と運動を組み合わせたとしても、それだけで治せるものではないとしても、初期段階では対応が可能なものがあります。それは、生活習慣病の中でもエネルギー代謝が大きく関係している糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症)、高血圧症です。
今や成人の5人に1人が糖尿病か糖尿病予備群という状況ですが、血液検査によって血糖値が高い状態であることがわかると、まずは食事療法が行われます。
糖尿病の多くはエネルギー摂取が多くなりすぎることが原因で、そのために膵臓から分泌されるインスリンが不足するようになって、糖質(ブドウ糖)が全身の細胞に取り込まれにくくなることで、血糖値が高い状態が続くことになります。
血糖は血液中のブドウ糖のことで、血液中のブドウ糖が多くなりすぎることによって高血糖状態となるので、ブドウ糖が含まれる糖質を減らせばよいと考えられがちです。インスリンを分泌させすぎて膵臓が疲弊するのはブドウ糖だけでなく、中性脂肪の摂り過ぎによっても起こります。
糖尿病の予防・改善のための食事療法は、全体的なエネルギー摂取を各人の状態に合わせて摂ることが基本となります。その多くは栄養過多であることから、摂取量を減らすことがすすめられます。
食事療法だけで期待するほど血糖値が下がらない場合は、食事療法を続けたまま運動療法が行われます。それでも血糖値が下がらなかった場合に、初めて医薬品を用いた治療が行われます。
その場合でも、食事療法と運動療法を継続するのが大原則です。ところが、医師の中には、食事療法も運動療法もせずに、初めから医薬品(血糖降下剤)を処方することがあるのは事実です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕