生活習慣病の原因として食事量が多すぎること、運動量が少なすぎることが指摘されて、その改善を求められると、医薬品だけで済まないのかと聞いてくる患者もいます。特に糖尿病の場合には、これまでの生活を変えなければならないことから、医薬品を飲むだけで解決できれば、それに越したことはないという考えをするのはわからないでもありません。
糖尿病と診断されたときには、初期段階では食事療法で対応することが基本です。食事療法だけでは血糖値を降下させる効果が得にくいときには食事療法と合わせて運動療法も指導されます。それでも効果が得にくいときに、初めて医薬品を用いるのが基本中の基本です。これは糖尿病の診療ガイドラインにも明記されていることです。
食事と運動なしには改善ができないのは、血糖値を降下させる医薬品を使っていても同じことです。ところが、検査結果から糖尿病であることがわかったときに、初めから医薬品を使う医師がいることも事実です。そして、医薬品を使ったときから食事と運動の指導をしなくなることもあります。
これは医師が栄養学と運動科学を充分に学んでいないことが原因としてあげられることが多くなっています。医師の養成教育の中に栄養学と運動科学がないわけではないものの、必修ではなく、大学の中には栄養学講座がないところもあります。
病院であれば食事療法の専門家の管理栄養士も、運動療法の専門家の理学療法士や健康運動指導士もいて、医師の指示のもとに栄養指導も運動指導も行われる体制になっているはずです。医師の指示なしには病院内で実施できないので、全員が治療の大前提の食事療法と運動療法が実施されていないのも事実です。
そのようなことから、医療費の30%を医薬品が占めているのは医師のせいと言われることでもあるのですが、医薬品の売り上げを増やそうとして栄養指導、運動指導を実施していないわけではないのです。
しかし、医師が食事療法と運動指導の重要性を理解していないとの指摘があり、それが当たっていることもあるのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕