あくまでも噂話108「エスカレータの立ち位置の東西の違い」

東京に住んでいたときに大阪への出張を前に、大阪出身の研究仲間からエスカレータの立ち位置の注意をされました。「東京と同じように左側に立っていると後ろから上がってきた人に突き飛ばされる」と。突き飛ばされるようなことはないとしても、今では、あまりに知られている東京は左側に立ち止まって歩く人は右側を使う“左立ち”、大阪は右側に立ち止まって歩く人は左側を使う“右立ち”というのを初めて聞きました。

東京に限らず関東は左立ち、関西は右立ちということで、その違いの理由の前に気になったのは境界線でした。地方出張が増える時期だったので、名古屋は右か左か、それを知りたくなりました。東京には中京出身の方も多いので、すぐに左立ちということがわかりました。大阪府以外の関西圏(京都府、奈良県、滋賀県、兵庫県、和歌山県)の出身者に聞いたところ、右立ちは京都府、奈良県、兵庫県ということがわかりました。

次に気になる(普通は初めに気になる)関西の右立ちの理由ですが、1967年に阪急梅田駅に長いエスカレータが設置されたときに、「お歩きになる方のために左側をおあけください」というアナウンスがされたのが、きっかけだったとされています。世界的には右立ちが多く、大阪万博(1970年)で海外から多くの来客者があるので、国際ルールが定着したというのが定説になっています。

大阪に初めて行ったときに、エスカレータの左右の関係から、歩行をするときにも東京とは逆を歩くのかと思っていたら、歩行は左側通行でした。左側を歩くのだから、当たり前ともいえます。

東京の左側通行は江戸時代からの伝統で、武士が刀を左腰に差すので、左側通行をしないと鞘がぶつかる“鞘当て”が起こります。それを防ぐために左側通行が全国ルールになりました。大阪では商人は大事なものは利き腕側の右手に持つので、他人が通行する左側を避けて右側通行になったとされていますが、真実はわかりません。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)