フレッシュ(fresh)は英語では生の意味で、コーヒーに加えるフレッシュクリームといえば、世界的には生クリームを指しています。コーヒーに生クリームそのものを入れることもあれば、ポーションクリームが使われることもあります。
ポーションクリームは小型の容器に入ったクリームですが、乳製品の生クリームが使われていた時代には冷蔵で流通・保存する必要があったので、扱いが面倒なこともあり、今のように広まることはありませんでした。
なぜ今は広まったのかというと、中身が乳製品ではないものが増えたからです。冷蔵をしなくてもよいポーションクリームの中身は植物性油脂を乳化させたものです。乳化という言葉を聞くと、乳製品が作られるような印象があるかもしれないのですが、見た目が乳製品のようになることを指しています。
乳化(emulsion)は油と水のように本来は混ざり合わないものが均一に混ざり合う状態のことを指していて、乳化剤を使うか攪拌が行われます。だから、生クリームのように見えても、常温保存することができるのです。
海外ではフレッシュクリーム(英語)やクレームフレッシュ(フランス語)が使われていますが、日本のコーヒーフレッシュとはまったく異なるものです。そのため、海外の店舗や外国航路の機内サービスでコーヒーフレッシュと言っても通用しません。
アメリカ行きの飛行機の中で、近くの席にいた人がコーヒーを注がれたあとに「フレッシュプリーズ」と言ったら、コーヒーを下げられてしまいました。どうやら本人はコーヒーフレッシュをほしいと言ったつもりなのでしょうが、fresh pleaseでは新鮮なものに取り替えてくれということになります。
日本では、というよりも関西ではフレッシュだけでコーヒーフレッシュであることは通じます。コーヒーフレッシュの名前を広めたのはメロディアンミニ(メロディアン)やスジャータ(スジャータめいらく)で、旧社名から商品名に寄せた社名となっているほどヒットしました。フレッシュだけでなくて、コーヒーフレッシュも海外では通じないということだけは知っておくべきです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)