そこが知りたい2 そこは知られてはいけない!

機能性表示食品の広告では、消費者庁に届け出した機能の内容と同じことを伝えなければならないことは、機能性表示食品を規制する通知にも書かれています。届け出の内容と異なることを表現してはいけないわけで、事実と違っている虚偽も話を盛った誇大の表現・表示も、もちろん禁止されていることです。

これは機能性表示食品に限らず、すべての健康食品にも共通することで、正しい情報を正しく伝えるのは基本中の基本です。健康食品は食品であって、医薬品のような効能効果を表示することは認められていません。医薬品の有効性と同じようなことを表示するだけでなく、それを標榜することも違反となります。

標榜というのは、主義や主張などを表明することですが、健康食品の場合には効能効果を匂わせたり、効能効果を想像させるような表現を主には指しています。具体的に効能効果を表示するわけではなくても、効能効果を想像させて誘導することは、標榜したということで、効能効果を言って販売しているのと同じだと判別されるのです。

健康食品は、病気がある人が使うものではなくて、今の健康状態を維持したり、増進したりするために使うものであって、そのことから有効性・機能性の試験も病気の人は対象として実施することはできません。あくまで健康な人を対象としていて、これは機能性表示食品も特定保健用食品(トクホ)も同様です。

そのため、機能性表示食品も特定保健用食品も認められる機能は、例えば高血圧を治すわけではなくて、血圧が高めの人が血圧を安定的に下げるためのものです。

安全性で問題となった紅麹を用いた機能性表示食品は、消費者庁への届け出の内容を確認すると、試験対象はLDLコレステロール値が140mg/dlの健常な成人です。高LDLコレステロール血症と診断されるのは140mg/dl以上であるので、治療が必要な状態になった人では試験が行われていません。

だから、治療が必要なところまで高まった人が使って効果があるのか、安全であるのかということは確認されていないのです。そのことをメディアは伝えるべきなのに、そこは今回の報道では、どこも触れていません。

消費者の勘違いを正して、販売に影響が出てはいけないという斟酌(しんしゃく)をして、報道しないのではないか、と疑われても仕方がないことが今も続いているのは事実です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕