筋肉の強化は、目的によって主に刺激する筋肉が異なっていますが、バランスボールとしての体幹トレーニングでは白い色をした白筋を主に刺激しています。白筋は筋瞬発力、筋持久力を担っていて、ブドウ糖をエネルギー源としています。有酸素運動のためのバウンドボールとしての使い方では赤い色をした赤筋を主に刺激しています。赤筋は筋代謝力を担っていて、脂肪酸をエネルギー源としています。
全身の筋肉のうち約70%は下半身(ヘソから下)にあり、赤筋は下半身に多いことから、脂肪酸のエネルギー代謝には下半身を動かす有酸素運動が有効となります。ボールに腰掛けてバウンドさせるだけの運動の場合には、高齢者や太っている人であっても膝に負担がかかりにくく、長く続けられる特性があります。
高齢者では膝の軟骨のすり減りから、歩く機会を減らすことが医師(整形外科医)から指示されることがあります。中でも人工関節置換術によって傷んだ関節を人工関節と置き換えた場合には、長持ちさせるために、できるだけ歩かないことがすすめられます。最新の人工関節は耐用年数が長くなっているものの、耐用年数は15〜20年とされています。人工関節に強い負荷がかかると傷みやすくなることから、運動だけでなく、階段の上り下り、ウォーキングなども控えるように指示されます。
一方で、高齢者には生活習慣病の予防や改善のためにウォーキングがすすめられることも多くなっています。生活習慣病の高血圧症、糖尿病、脂質異常症(高中性脂肪血症、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症)はウォーキングによる有酸素運動によって数値(血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値、HDLコレステロール血症)を改善させることができるからです。中でも糖尿病は、食事療法、運動療法をしないと医薬品(血糖降下剤)の効果が得られにくくなるという特性があり、運動習慣を欠かすことはできません。
しかし、人工関節であることから歩く機会が減ると、生活習慣病の改善がみられないことにもなります。そこで歩かずに済む有酸素運動が求められ、その一つとしてバウンドボールが使われ始めたという経緯があります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)