筋肉の細胞にはエネルギーを作り出す器官のミトコンドリアが多くあるため、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を取り込んで、エネルギー化させることができます。エネルギーを作り出すときには酸素が多く必要になるので、運動をして筋肉を動かすと筋肉細胞の中に酸素が取り込まれて、多くのエネルギーを作り出すことができます。
そのエネルギーが全身のエネルギーになって、全身の働きがよくなることを期待する人も多いのですが、細胞とエネルギーには大原則があります。それは細胞の中で発生したエネルギーは、その細胞の中だけで使われるので、他の細胞で使われることはない、ということです。
では、運動をしても全身の健康に効果はないのかというと、そんなことはなくて、運動によって酸素が多く取り込まれることで、全身の細胞で効率よくエネルギーを作り出すことができるようになります。
もちろん、エネルギー源が足りていることは必要で、極端な糖質制限を行うと効果的なエネルギー源の糖質の不足のためにエネルギー代謝が期待するほどは高まらないことになります。
運動をして筋肉で多くのエネルギーが作られると、刺激された筋肉だけでなく、全身が温まるようになります。細胞で作り出されたエネルギーの半分ほどは体熱になっています。生命維持に必要な基礎代謝はすべてのエネルギー消費量の70%ほどで、基礎代謝の70%ほどは熱産生に使われます。
「70%×70%=49%」ということで、半分ほどが体熱になっているとしているのです。この熱は血液を温め、温かな血液が全身を巡ることで全身の細胞が温まります。大きなエネルギー源の脂肪酸は、中性脂肪が分解されることで発生します。このときには脂肪分解酵素のリパーゼの働きが必要で、リパーゼは細胞が温まると分解が進みやすくなります。
こういった仕組みがあるので、運動をして身体が温まると、全身の細胞で発生するエネルギー量が増えて、これが全身の健康につながっていくということです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)