睡眠の質を高めることを表示した機能性表示食品には、グリシンが含まれていることから、速やかに深睡眠をもたらし、睡眠の質の向上(熟睡感の改善、睡眠リズムの改善)、起床時の爽快感のある目覚め、日中の眠気の改善、疲労感の軽減、作業効率の向上に役立つ機能があると書かれています。
深睡眠は寝入りばなの深い眠りのことで、加齢やストレス、体温機能の調整の乱れなどで失われがちになります。表示された機能は、脳波測定によって確認されています。
グリシンは体内で合成される非必須アミノ酸で、一般には睡眠アミノ酸と呼ばれていて、コラーゲンの中に多く存在しています。
試験対象者は日常の睡眠に問題を抱えている男女11人(男性3人、女性8人)、年齢は30〜57歳(平均年齢40.5歳)で、就寝前にグリシン3gと対照食(プラセボ)を摂取した場合を比較しています。実施期間は2夜連続を1セットとして、1週間以上の間隔をあけて2回評価しています。1回目と2回目では対象者でグリシン3gを摂取する人を入れ替えています。
脳波測定を行い、起床後の主観的な睡眠感は睡眠質問票を用いて評価するとともに、日中の眠気は疲労感を測定するVAS(ビジュアルアナログスケール法)、短期記憶能力への作用についてはパソコンを使った作業を行い、注意力を表す反応時間を評価しています。
睡眠、日中の眠気への効果、作業効率に対する影響は、健康な男性10人(平均年齢41.4歳)に対して睡眠時間(平均7.3時間)を75%に制限(平均5.5時間)して、3日続けた際の影響を調べています。
この試験の結果、入眠後の速やかな深睡眠に達して、自然な睡眠パターンへの改善が認められました。主観的な眠りの評価については、熟睡感や爽快感に関する項目では「昨晩の睡眠の満足度」、「眠りのつきやすさ」、「眠りにつくまでの時間」、「床についている間の眠っている時間の割合」は改善され、さらに日中の眠気や短期記憶に関する評価も改善されていました。
試験対象は、睡眠の質に悩みがある人というよりも強制的に睡眠時間を短くした人です。あくまで健康な人であって、睡眠の質は生活習慣病によって低下することが知られているので、そのような人の場合にも同様の結果が得られるかはわからないということです。