サプリ概論239  逆転の発想の鉄その2

鉄の摂取が不足する原因としてダイエットがあげられます。一つは鉄が含まれる肉類を食べる量が減ることで、鉄はたんぱく質と結びつくことから、肉類の摂取量が減ると鉄も不足する傾向があります。鉄が多い食品というとレバーが有名ですが、肉類に多く含まれるのは動物性食品に特有のヘム鉄です。レバーのヘム鉄は吸収率が15%を超えています。

15%というと低く感じるかもしれませんが、植物性食品の非ヘム鉄の吸収率は、含有量が多いとされるほうれん草でも4%ほどでしかありません。レバーに含まれる鉄は100gあたり13mgほどですが、ほうれん草では2mgでしかありません。もともとの量が少ないうえに、吸収率が低いので、動物性の食品(肉、魚、貝など)を食べることが必要です。

それでも不足するときには、サプリメントによる摂取がすすめられます。

ダイエットで鉄が不足する、もう一つの理由は運動によるエネルギー代謝によって鉄が多く消費されることです。これは酵素と補酵素の関係から説明されています。

鉄には補酵素としての役割もあります。鉄が酸素を全身に運ぶことができるのは、その働きをする酵素の補酵素となっているからです、細胞でエネルギー産生をするときにも鉄は補酵素として働いています。さらに遺伝子のDNA合成を進める酵素の補酵素ともなっています。

鉄が補酵素とする酵素の中でも、カタラーゼ、シトクロム、ヒドロゲナーゼは抗酸化酵素で、活性酸素を消去する作用があります。体内に取り込まれる酸素のうち2〜3%は活性酸素になります。その多くは細胞の中のエネルギー代謝の結果として発生しているので、鉄によってエネルギー産生が進むと、それだけ活性酸素も増えることになります。

鉄は赤血球が酸素を運ぶのを補助するとともに、酸素の摂取によって全身の細胞で発生する活性酸素を消去して、全身の細胞を正常な状態に保つための働きもしているのです。