機能性表示食品は機能性が認められた素材を使っている食品ですが、その存在はジェネリック医薬品のようなものだと言われることがあります。先にジェネリック医薬品のほうから紹介しておくと、医薬品には先発品とジェネリックがあります。
ジェネリック医薬品は、新薬を開発・製造する大手製薬メーカーの医薬品の先発品特許が切れたあとに、同じ有効成分が同じだけ使われた後発品メーカーによって製造された医薬品を指しています。開発費が必要ない分だけ、安く作ることができます。
医療機関でジェネリック医薬品がすすめられるのは、個人の医療費を下げるととともに、医療費を負担する企業などの健康保険組合や自治体の負担を減らすためでもあります。医療費のうち国や自治体が負担しているのは4割ほど、企業や保険組合などが半分ほどです。そのうち医薬品が占める割合は医療費全体の4分の1ほどとなっているので、常に赤字になっている医療費を減らしたいというのは当然の気持ちです。
厚生労働省はジェネリック医薬品について「先発品と同等」という表現をしています。これは同じ有効成分がある原薬ということで、“同じ程度”であるということを意味しています。化学的に同じ成分であって、それが同じ分量だけ使われていれば同じ医薬品という発想ですが、本当に同じなのかという疑問は常につきまといます。
機能性表示食品も同じようなことがあり、その商品を用いて試験を行い、機能性が認められたことから消費者庁に登録して販売するものがあるものと、それとは別に論文を根拠として登録されるものがあります。後者は他の機能性表示食品と同じ素材が同じ量だけ使われているから同じ機能性があるとして認められるものです。
同じ素材名であっても、品種、産地、栽培環境、収穫時期、加工法によって有効成分の量は大きく違ってきます。有効成分の量が同じであっても、健康食品の全量が有効成分が含まれた素材ではありません。これはジェネリック医薬品でも同じことですが、添加剤が使われています。1粒(医薬品では錠)の重量から有効成分の重量を差し引いた残りが添加剤です。1gは1000mgなので、実際の重さと有効成分の量を比べれば、どれだけ添加剤が多いのかがわかります。
ジェネリックと同じではないかと指摘される機能性表示食品ですが、それに該当するものは「〜と報告されています」と表示されています。自社の商品で確認した場合には「〜の機能性が認められています」などと表示されています。