タクティシャン(軍師)の役割

タクティシャン(tactician)は企業などの軍師であり、軍師の支援がないと大きな間違いを犯し、戦いで言えば全滅しかねないことにもなります。タクティシャンについては前回、コンサルタントとの違いを示して説明しましたが、理解を進めるための例とされるのは諸葛孔明です。

諸葛孔明は、中国の三国時代の政治家・軍師で、その活躍ぶりは『三国志』に描かれています。後に蜀漢の初代皇帝となる劉備玄徳が、晴耕雨読の日々を送っていた諸葛孔明の元に三回足を運んで迎えることができたという“三顧の礼”があまりに有名な逸話です。

それほど得ることが難しいのが軍師であり、軍師の存在が戦いの結果を左右することとなります。諸葛孔明は戦場には輿(こし:神輿のように担ぎ上げる乗り物)に乗って移動して、戦いも弓矢も届かない山の上から指示をするということでしたが、そのような冷静な立場での判断があればこそ、全体像を把握して戦い続けることができます。

“軍師”と作戦参謀は似たような意味合いで捉えられるようなことがありますが、参謀は作戦や用兵の計画・指導に当たる役割で、作戦参謀は作戦そのものの立案と遂行に関わる役割を指しています。

参謀も作戦参謀も立案や実践に関わるといっても、その実施にはトップの大将の考えや意向に左右されることは仕方がありません。それに対して軍師は、忖度(そんたく)なしにというか斟酌(しんしゃく)なしに言うべきことは言い、実施していきます。

ちなみに忖度は「他人の心中を推しはかること」で、斟酌は「相手の事情や心情を汲み取ること」です。一般的な認識も忖度は、実は斟酌のことです。

言いにくいこと、相手の耳に痛いことであっても、言うべきときには言う、やるべきときにはやるように押し進めるというのが軍師の役割です。

今の時代に必要なのは軍師であり、それを認めて、近くに置く経営者であるということを伝えるようにしています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕