ツイン・ウォーク53 一石二鳥の効果を目指して

同じ歩くことであっても、健康効果が一つではなく、複数になれば、これは嬉しいことであり、ウォーキングの可能性を拡げてくれます。ウォーキングの効果といえば、一般には有酸素運動があげられます。ウォーキングは代表的な有酸素運動、という表現もされています。

有酸素運動だけでなく、歩行速度を高めると無酸素領域の運動にもなります。歩いているだけでは、どんなに速度を速めても無酸素運動にはならないとしても、ほぼ無酸素状態という運動に近づけることができます。この無酸素領域の運動は、酸素を多く取り込んで、筋肉にも多くの酸素を送り込み、脂肪代謝を高める効果も認められています。

このような“一石二鳥”の効果が得られるのが、2種類の歩き方を採用するツイン・ウォークの特徴です。一石二鳥に対して“二兎を追う者は一途をも得ず”という対語がありますが、ツイン・ウォークに関しては、歩くという行動であるので少なくとも効果がないということはなくて、二兎どころか“一兎を追う者は三兎を得る”という結果も期待できます。

三兎目のメリットは、例えば年齢に合わせた方法による効果です。有酸素運動と無酸素領域運動を交互に繰り返すインターバル式のウォーキングは、脂肪代謝の効果は優れていても、筋肉を強化するところまでは行かないとされていました。

ところが、高齢者の場合にはインターバル式のウォーキングで筋肉が強化されることがわかってきました。運動によって筋肉が増えるときには、負担がかかって傷ついた筋肉の周りにサテライト(衛星)細胞ができて、これがタンパク質を集めて、筋肉に取り込まれていきます。高齢者は速歩を続けることで筋肉が傷つきやすいのが一つ目の理由です。

もう一つはサテライト細胞が活発に働くときにはAMPキナーゼという酵素が必要で、この酵素は運動によって多くのエネルギーが必要になったときに発生します。高齢者の場合には速歩であっても長く続くと身体の負荷が大きくなり、エネルギーが多く必要になって、AMPキナーゼの発生量が多くなるからです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕