ベネフィットがあれば運動も続けられる

何も成果が得られないのに頑張って運動をしろと言われても、それは難しいことです。運動をすれば身体によい結果が現れるであろうと多くの人は考えるので、「ウォーキングをすれば健康になるから、それでいいじゃないか」と発言する運動科学の先生が出てくるのも仕方がないことですが、なぜ身体によいかがわかるだけでも続ける気が高まります。その理論に従って、よい結果が出たら、もっとやる気が起こって続けていくモチベーションになります。
しかし、これには限界があって、もっと目に見える利益が欲しいと感じる人もいます。そんな人のために考え出され、成果を上げているのが“健幸ポイント”です。これは健康と幸福の造語で、利益としてはベネフィット(benefit)を指しています。ベネフィットは「幸福につながる利益」のことで、健康のためによいことをすることによって、得られる利益なら健康になることが幸福そのものであるとの考え方もあります。
とはいっても、それだけでは続かないのが事実で、金銭的な利益を与える仕組みが健幸ポイントで、健康診断を受診する、健康づくりイベントに参加する、運動をするという実績に応じてポイントが付与されます。
これについては厚生労働省をはじめとした官公庁、関連する法人、支援する企業、自治体などによって活動しているスマート・ウェルネス・コミュニティが有名で、最高金額を定めて(2万円程度)金券を提供しています。この金券の使い道は自治体によって違いがありますが、すべてを健康に関連するところに使わなければならないということではありません。予算の関係から限度額があり、参加できる人数も決まっているので、せっかくの成果も頭打ちの感があります。そこで、健康づくりに関わるインセンティブが与えられるように、もっと範囲が広げられるように案が練られているところです。
これは大きな規模で進められているわけですが、独自のポイント制度を考えている自治体もあり、その協力をするのも私たちの役割の一つです。小さな自治体ではポイントの交換先を健康づくりに限るとなると、健康に役立つ食品の提供や運動イベントへの参加というのが多いようですが、本当に欲しいと感じるもの、行ってみたいと思うところでないと“宝の持ち腐れ”、そもそも“宝”と感じてもらえないことになります。
その自治体に、これまでなかった楽しい運動施設ができて、そこで楽しむことができるというポイント交換なら行くかもしれませんが、自治体が施設を作ったり、資金援助をして設けられた施設だと、自治体に住む人たちに等しくサービス提供する性格のものとなるので、特典として提供するのに向かないということもあります。
自治体内にあっても近隣にあっても、民間の楽しい施設のサービスが無料で楽しめるのがポイント還元先であれば、そしてサービスの内容が健康づくりに直接的に関わることなら、これは喜ばれる健幸ポイントとなります。楽しい健康づくりサービスというと、例えばフィットネス施設では自治体の体育館などにある一般的なトレーニングマシンではなく日本国内にも数台しかないマシンがあるとか、エアロサイクルも自転車漕ぎを黙々と続けるのではなくペダルを漕ぐと目の前の景色が変化していく、音楽に合わせて身体を動かすフィットネスの種類を好きに選べる、映像に合わせて身体を動かすだけで健康効果が高められるといったことが必要と考えます。
こういった楽しめるサービスを提供しながら、より効果的な継続できる健康づくりを実施するのも私たちの役割の一つです。