ロングブレスとボイストレーニングは同じなのか

ロングブレスが登場したときにはダイエット法の一つとして広まりました。俳優の美木良介さんが自身の腰痛の改善のために始めたもので、その長く息を吐く呼吸法が代謝を高め、インナーマッスルを強化するというので、ダイエット効果が期待されて、かなりヒットしました。そのロングブレスが高齢社会に対応するためにインナーマッスルを鍛えて、長生きするための呼吸法として取り上げられるようになり、人気のテレビ番組の中でも紹介されています。
ロングブレスは3秒間、鼻から息を吸って、10秒以上の時間をかけて強く、ゆっくりと吐き出す方法で、特に気を使うのは腹筋の中でも腹横筋と腹斜筋という奥の筋肉を意識しながら腹部をへこませていくことです。この方法をテレビで紹介されているのを見ながらやってみて、気づいたのは「これはボイストレーニングの呼吸法と同じだ」ということでした。
合唱の発声練習では、直立から少しだけ前方に体重をかけて背筋を伸ばすと、お尻の筋肉が締まり、腹筋と背筋で腹部が押さえられて、息を強く吐き出すことができるようになります。いわゆる腹式呼吸という方法ですが、胸部を使っての呼吸ではない腹部での呼吸ということだけではなくて、インナーマッスルを引き締めながら息を吐く、声を出すということです。
シニアの自立、正しい姿勢での歩行といった基本となる筋肉の強化にもつながり、なんといっても酸素を多く取り込んで、細胞のミトコンドリアの中のTCA回路で酸素を使って、ブドウ糖と脂肪酸を燃焼させてエネルギーを作り出すということにもなり、これはメディカルダイエットとして提唱していることと同じことです。
多くのエネルギーを作り出すときには、運動をしたほうがよいのは当然のことですが、例えばウォーキングにしてもダラダラと歩くのではなく、少し前傾姿勢で背筋を伸ばし、腹筋と背筋が引き締まった姿勢で早歩きをすると、代謝の促進と同時に、エネルギー代謝に必要な酸素を多く取り込むこともできるようになります。これはロングブレスともボイストレーニングの呼吸法とも共通するところがあるということを健康のために歩く機会にも伝えさせてもらっています。