糖質を減らすと血糖値が上昇することがあります。糖質にはブドウ糖が含まれていて、血液中のブドウ糖が血糖なので、糖質の摂取量が増えるほど糖尿病が進むとの考えで、糖質を制限することが第一というような考え方も広まっています。
しかし、糖尿病はインスリンの不足から全身の細胞にブドウ糖を取り込む能力が低下しているために血糖値が高くなり、余分になったブドウ糖が尿に混ざって排泄されます。これが糖尿病という名前の由来です。
余分なブドウ糖が尿とともに捨てられているのではなくて、本来なら細胞でエネルギーになるべきブドウ糖が血液中に多くなっている状態です。つまり、糖尿病は全身の細胞のエネルギー源不足ということになります。
ただでもブドウ糖を取り込む能力が低くなっている糖尿病の患者に、糖質を極端に減らすようなことをすると、全身の細胞がエネルギー不足になります。細胞の中で作り出されたエネルギーは、その細胞の中でしか使われません。
インスリンを分泌させる膵臓にもブドウ糖は必要です。体内のブドウ糖の多くは肝臓に蓄積されていて、ブドウ糖が不足したときに血液中に放出する働きをしています。膵臓にも肝臓にもエネルギー源となるブドウ糖は必要なのです。
正常な働きをさせるために必要なブドウ糖が不足したら、血糖値を下げるための身体機能が正常に働かなくなります。また、全身の細胞にブドウ糖を取り込むための仕組みを働かせるためにもブドウ糖は必要です。
そのエネルギー代謝の仕組みがわかっていれば、ただブドウ糖を減らせばよい、という考えにはならないはずですが、そういう結果になっていないのは、まだエネルギー代謝を医師などが充分に理解していないことが要因と考えられているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕