代謝と高中性脂肪血症8 動脈硬化予防のための食事のポイント

◎コレステロールを増やす食品を控える
高中性脂肪血症は動脈硬化の危険因子の一つですが、ほかに高LDLコレステロール血症、高血圧、糖尿病なども動脈硬化を促進させます。動脈硬化を予防するためには、次のことに注意が必要となります。

肉類などの動物性脂肪には飽和脂肪酸が多く含まれ、これが肝臓で合成されるコレステロールの材料になります。また、コレステロールの多い肉の脂身、バター、牛乳なども控えます。イカ、エビ、タコ、カニなどにも多くのコレステロールが含まれていますが、これらの食品にはコレステロール低下作用があるアミノ酸のタウリンが含まれているため、コレステロールの増加には、あまり影響がありません。

◎抗酸化成分を含む食品を摂る
LDLは活性酸素によって酸化することで動脈硬化が進みやすくなります。LDLが酸化すると変性LDLになり、これをマクロファージが取り込んだ後に活動が止まると血管に入り込んで、動脈硬化を進めていきます。LDLの酸化を防ぐのが抗酸化成分です。抗酸化成分のβ-カロテンは緑黄色野菜に、リコピンはトマトに、イソフラボンは大豆に、ビタミンCは野菜や果物に、ビタミンEは種や豆、卵、植物油に含まれています。

◎塩分を控える
塩分の摂りすぎは高血圧の要因であり、高血圧は動脈硬化の危険因子になっています。漬物、佃煮、塩魚、チーズなどの塩分の多い食品や加工食品、濃い味付けの料理などに注意します。食物繊維には塩分(ナトリウム)を排出する作用があり、野菜や海藻に多く含まれるミネラルのカリウムは血液中のナトリウムを尿中に排泄させ、血圧を下げる作用があります。

◎運動と禁煙の実施
HDLを積極的に増やす食品はないものの、運動によってHDLを増やすことができます。運動をしてHDLが増えると、LDLが減っていくのが通常の反応です。LDLは全身にコレステロールを運び、HDLは血液中で余分となったコレステロールを運び去る働きがあり、HDLの増加は動脈硬化の予防につながります。喫煙はHDLを減らし、LDLや中性脂肪を増やすので、禁煙することが大切です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕