体質との調和17 体質と血管の関係

脳血管疾患による死亡数は1980年(昭和55年)までは第1位を占めていましたが、1981年(昭和56年)から1984年(昭和59年)までは第2位に、1985年(昭和60年)から1994年(平成6年)までは第3位と下がりました。

1995年(平成7年)、1996年(平成8年)には脳血管疾患は第2位となり、1997年(平成9年)以降は第3位、2011年(平成23年)からは肺炎に抜かれて第4位となりました。そして、現在では死因の順位は変わりましたが、脳血管疾患は第4位のままとなっています。

病名の総称としては同じ脳血管疾患であっても、その種類と原因は第二次世界大戦の直後と現在では大きく異なっています。終戦直後は魚食と野菜、穀類などの伝統的な食生活に肉食が少し加わった程度であったことから、コレステロールの摂取量が大きく不足していました。そのため、血管壁の材料でもある血液中のコレステロールが足りないことから、血管が弱く、血管が切れて出血する脳出血が多くを占めていました。

それに対して現在は、コレステロールの摂取量が格段に多くなり、また脂肪や糖質の摂りすぎから肝臓で合成されるコレステロール量も多くなっています。コレステロールは全身の細胞膜の材料であり、ホルモンの原料、脂肪を分解する胆汁酸の原料ともなっています。

生命維持、健康維持に欠かせない成分であることから糖質、脂質、たんぱく質を材料にして肝臓で多くが合成されています。栄養が充分に摂れるようになると、コレステロールも体内で多く作られるようになり、これが健康増進につながる結果となりました。

不足しているコレステロールが補われているときには健康面でプラスの結果となっていましたが、過剰になりすぎたことで、今度は動脈硬化を引き起こし、血管が詰まって亡くなる人を圧倒的に増やす結果となりました。

死因の統計上では同じ脳血管疾患であっても、以前はコレステロール不足から脳血管が弱くて切れたことが原因であり、今ではコレステロールの摂りすぎによって脳血管が詰まることが原因となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕