体質との調和19 沖縄県の変化から見る食事と健康

コレステロールは血液中で増えたからといっても、これが直接的に動脈硬化につながるわけではありません。しかし、コレステロールを多く保持している悪玉コレステロールとも呼ばれるLDLコレステロールが酸化すると動脈硬化のリスクが高まることが確認されています。

酸化したLDLコレステロールを白血球のマクロファージが取り込んで処理した結果、血管が硬く、狭くなっていき、動脈硬化になりやすいことが知られています。

脂肪酸の種類の違いの例として、沖縄県の肉類の摂取の変化がよく例としてあげられます。沖縄県は昔から肉食が盛んで、沖縄県は長寿日本一を誇っていたことから、肉食こそが長寿の秘訣と言われてきました。

ところが、2000年(平成12年)に「26ショック」と呼ばれる大きな変化が起こりました。これは長寿県として過去に第1位であった沖縄県の男性の平均寿命が第26位と大きく下がり、そのギャップには沖縄県のみならず全国に衝撃を与えました。2013年(平成25年)データでは男性は第43位、女性は第3位となっていて、これは「330ショック」と呼ばれています。

最新のデータ(2022年)では男性は第36位であるものの、女性は第16位となっています。その原因としてあげられているのは、やはり肉食の増加です。

沖縄県は歴史的に肉食が多かったといっても豚肉が中心で、豚肉は動脈硬化のリスクを高める飽和脂肪酸が牛肉に比べて少なく、不飽和脂肪酸が多く含まれています。それに対して今、沖縄県で多く食べられているのは飽和脂肪酸が多く、不飽和脂肪酸のほうが少ない牛肉です。これは戦後にアメリカに統治された関係で牛肉が多く食べられ、今でも牛肉が安く流通されていることと関係しています。

肉類を多く食べていたから健康であったという考えは改めるべきであり、どんな種類の肉を食べていたかが重要となります。これから私たちは体質に合わせて、どんな肉を食べるべきかを考えなければならず、そのヒントが沖縄県の食事にあります。

沖縄県の食事については、肉食以外の食事の変化にも注目する必要があります。沖縄県は終戦後からアメリカ文化の影響を色濃く受けることとなり、ステーキやハンバーグ、サンドイッチ、アイスクリームといった食の欧米化が急速に進みました。いち早く欧米化したことが生活習慣病を増やし、沖縄県の男性も女性も20~64歳の死亡率ではワースト1位となっています。

欧米化した食事は肥満の原因になることは広く知られていますが、沖縄県の肥満者の割合は男性では約4割、女性3割が肥満となっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕